くれは 呉羽真弓です。4間質問します。
 まず1間目は、 「障がい児・者への制度の充実を願う」としてお聞きします

 重度の障がいのある人が病院に入院する際、ヘルパーさんを病院に派遣するこ
とは、今の国の制度上できません。それゆえ、コミュニケーションをとるこ
とが困難で、長時間の見守りなどのケアが必要な障がい児・者に対し、病院が
家族に24時間の付き添いを求めたり、できない場合は入院を断られるケース
があります。

 例えば、ナースコールを押すことができない気管切開をしている重度障がい
児・者の場合、個々の状態に応じた吸引の実施は、今の医療機関の介護では難
しいのが現状でありますし、病院との十分な意思疎通がとれない状態は、治療
に影響します。
だからこそ、障がいのある人にとって、それまで生活を支える存在として支援
をされ、意思疎通になれてきた人をヘルパーとして入院先に派遣する制度が望
まれるわけです。

 障がいのある人にとって、ヘルパーさんは本当にかけがえのない存在であり、
日々の生活の中で、介護の方法やコミュニケーションのとり方を身につけ、お
互いの人となりを知り合い、一緒に生活をつくっていく大切な存在であります
。家族と同居している障がい者にとっても、家族以外の人とかかわることで、協
力し合い、自分らしい生活をつくっていく、まさしくパートナーと言えます。

 ところが、そんな大切な関係が入院によって断ち切られてしまうわけです。
ナースコールが押せない、意思表示が難しい障がい児・者が入院した際、家族
が病室に泊まり込み、着がえを取りに帰ることもできない状況もあると聞きま
す。病院は、完全看護であっても、個別ケアにこたえ切れないのも現実でありま
すので、その人のケアになれた人の付き添いが必要と思われます。

 しかし、現在は、その障がい者が全額自己負担をしてヘルパーさんに来てもら
ったり、あるいは事業所が採算を度外視して派遣を続けない限り、病院での介
護は非常にしんどいものとなります。

 高齢な親御さんに介護の負担をなるべくかけまいと頑張っている障がい者が、
入院の間は、結局、家族に頼らざるを得ないという状況が生まれるわけです。
この間題は、医療と福祉、看護と介護、病院と地域のはざまの問題なのです。
介護は、障がい者の暮らしにとって不可欠なものです。はざまの問題は、何とか
解決していかなければならないと思います。そこでお聞きします。

1 市はそのような実態があることを把握されておりますか。また、要望
は聞かれておりますか。

2点目、他市では、この壁を破る工夫が始まっております。市は、重度障が
い児・者の入院時のヘルパー派遣を実施する考えはありませんか。

3点目、医療的ケアの必要な重度障がい児・者を受け入れている事業所の看
護師配置に補助する考えはありますか。
京都府の新規事業、 22年度予算に、それが計画されております。重度障が
い児・者の在宅生活支援事業という事業であります。医療的ケアの必要な重度
障がい者等の受け入れを進められている事業所に対し、看護師配置に補助するも
ので、負担割合は市と府で2分の1と聞きます。府内10カ所程度をまず予定
しているとお聞きしております。この事業に市として積極的に取り組むべきだ
と私は思いますが、市長のお考えをお聞かせください。


市長  呉羽議員のご質問にお答えいたします。
 1点目の「実態があることを把握しているのか」とのご質問でございますが
重度障がいがある方への入院中のヘルパー派遣につきましては、本市におきまし
ても、障がいのあるご家族をお持ちの住民の方からご相談等をいただいているこ
とがあり、一定のニーズがあることを把握しているところでございます。

 次に、 3点目の、医療的ケアの必要な重度障がい児・者を受け入れている事
業所への支援施策でございますが、これにつきましては、昨年末に京都府から
平成22年度の府新規事業として、府2分の1、市町村2分の1の負担割合で
モデル的な事業を展開したいという連絡を受けているところでございます。

 本地域でも、独自に看護師を配置されるなどの対応により、重度障がいのある
方への、たん吸引や、経管栄養といった医療的ケアを実施しておられる事業所
がありますので、木津川市といたしましても事業実施に係る検討を行いたいと
考えているところでございます。

 そのため、京都府に事業要件等を照会しているところでございますが、現時
点でも実施方法など詳細は未定とのことでございまして、平成22年度当初予
算は経費を計上しておりません。今後、京都府から具体的な事業要件が示された
段階で、地域の事業所とも協議を行った上で、必要な経費を補正予算に
計上させていただくなど、対応を検討してまいりたいと考えております。

 2点目のご質問につきましては、担当部長よりご答弁を申し上げます。


保健福祉部長 保健福祉部長でございます。
 呉羽議員の2点目のご質問にご答弁を申し上げます.         

 他市では、こういった壁を破る工夫が始まっているけれども、市は重度障がい
者への入院時のコミュニケーション支援事業を実施できないかというご質問で
ございます。入院中の看護につきましては、診療報酬に関する国の通知に基づき、
医療機関の看護要員のみによって行うこととされておりまして、当該医療機関の
看護要員以外の者が看護を代替することはあってはならないというふうにされてお
ります。

 また、障害者自立支援法におきましても、その第7条に、他の法令による給
付との調整に係る規定が設けられておりまして、医療保険関係各法の規定によ
り、医療機関等で受けることができる看護については、障害者自立支援法から
のサービス提供・給付は行わないこととされているものです。

 このように法的規制がある一方で、実態といたしまして、重度障がいのある方
が入院する際に、そのご家族に大きな負担がかかるという状況があり、 「医療
と福祉」のはざまの問題であると認識をいたしております。
この間題の解決に係る先進事例といたしまして、昨年度に、京都市が府内で
初となる医療機関へのヘルパー派遣事業を実施されたという情報を確認して
おります。

 これは、派遣するヘルパーの業務について、看護を行わない「コミュニケー
ション支援」という位置づけをするもので、先はど申し上げました、入院中の
看護に係る法的規制を回避する手法をとっているものです。
 しかし、このコミュニケーション支援につきましては、地域生活支援事業と
いう、市町村の規模・障がい者数等の指標により交付金額が決定されるという、
いわゆる統合補助金のメニュー事業に位置づけられています。

 木津川市では・この地域生活支援事案について、現行の各種障がい施策の
安定実施と低所得者への負担軽減に配慮した事業展開を図っているところです。
昨年度の事業実績では、本来想定されている国2分の1、府4分の1、市町村4
分の1という制度上の負担割合に対して、実際は、木津川市では2分の1以上
の負担をしているところでございます。

 現時点におきましては、ご提案のありました「重度障がいのある方への入院時
のコミュニケーション支援事業」につきましては、まず国において法的な整
理・位置づけが明確にされるよう,強く要望してまいりたいと考えるものです
また、この地域生活支援事業につきましては、毎年度、京都府を通じまして
国に対し十分な予算確保を要望しておりますので、新たな事業展開につきまし
ては、今後、法律面・予算面が担保された時点での課題とさせていただきたい
と考えております。
以上でございます。


くれは 実態を把握しておられるということとニーズは掌握しているということ、
しかしながら現在の時点では、ヘルパー派遣は難しいよとい
うのが部長からの答弁だったかと思います。

 それは自治体の規模によってはできないということなんでしょうか。今、京
都市は、昨年の10月1日から始められました。明石市は、 2008年のこれ
も10月ぐらいでしたか、やはりそこには本当に切に願う重度障がい者、これは
家族がおられない場合も想定されるわけです。そういう意味からして、コミュ
ニケーションがとれない、治療が満足に行えない、そういう状態を回避するた
めに、ヘルパー、医療行為は行わないという前提だとは思いますけれども、コ
ミュニケーション支援事業としての位置づけが尼崎でも行われているという実
態があります。

 私は話を聞かせていただきました。 1 3歳で交通事故に遭われて
今、養護学校を卒業された19歳の男の子をサポートされているお母さんでし
た。今、入院はされておりませんけれども、今後入院ということになれば、
それは家族の負担だけではなく、ご本人の、やはり十分に治療ができないこと
等、それと日ごろヘルパーとして接してくれている人の関係が途絶えてしまう
そのことにより、環境の急激な変化に、やはりそのお子さんなり、障がい者の方
のそれ以降の生活さえも大きく変えてしまうことになるというふうに私は思う
んです。

 だから、家族の負担の問題だけではない、家族の負担以上に、ご本人の治療
なり、ご本人のヘルパーさんとの関係を断つことによって、精神的な面も含め
て、それ以降の生活が大きく傾斜をしていくというふうに思いますので、これ
は自治体の規模でできないものなのか、そこは聞かせていただきたいと
思います。


保健福祉部長  保健福祉部長でございます。
 呉羽議員の再質問にご答弁を申し上げますo
規模とか、そういったものは関係ないというふうに思っておりますが、実際
取り組みをされておるという例といたしましては、京都府では京都市だけ、大
阪府では大阪市、それから神戸市の方でも取り組みをというふうなことを情報
としては持っております。

 私が申し上げました答弁の中で、コミュニケーションの支援事業という一つ
のメニューは単独ではなしに、多くの統合メニューの中にそういうコミュニケ
ーション事業という取り組みをされているというところが事例として、現時点
での一つの方法としてあるというところでございます。

 木津川市といたしまして、その統合の補助金のメニューを使って木津川市と
してできないかというところでございますけれども、先ほどの答弁させていた
だいた趣旨と申し上げますのは、実際に木津川市でも地域生活支援事業といっ
たようなものを取り組んでおります。その中で、どんなものが主なものかと申し
上げますと、市町村の相談支援機能強化事業とか手話通訳の設置事業、
あるいは訪問入浴サービス事業とか、それから移動支援事業とかといった
ものを取り組んでおります。そのメニューの中に新たにまた追加するという
ことになります。

 もともと補助金の趣旨と申し上げますのは、先ほど申し上げましたように、
一定の2分の1、 4分の1という負担割合が定められておりますけれども、現
時点におきましても、木津川市は50%を超える負担をしているという実態が
あります。

 このような制度の中で、さらに一つのメニューを追加するということについ
ては、非常に厳しいというところでございますけれども、必要は十分認識して
ぉります。また、障がい者だけではなくて、高齢者につきましても、介護保険と
のはざまがあるということも認識しております。

 また、京都府におきましても、最近、こういった動きを受けて、調査等にも
参っておりますので、これにつきましては、引き続き注視をしながら慎重に対
応していきたいというふうに考えております。
以上でございます。


くれは 明石市や大阪市や神戸市の例は、この地域生活支援事業
の中のコミュニケーション支援事業としての位置づけというふうに聞いており
ます。
ですので、耳の不自由な方は聴覚が聞こえるような装置をつけるのと同じ、
手話通訳をつけるのと同じような形でヘルパー派遣事業を位置づけているとい
うふうに聞いておりますので、必要性を十分認識していただいせいますし、
誰でも中途で重度障がい者になる可能性はあります.今、切に願っている人たち
の、そのはざまを埋めることこそが行政に求められている姿勢ではないかなと
いうふうに思いますので、今後の成り行きを注目したいと思いますし、またそ
の都度、質問なりをしていきたいなというふうに思います。

 あと1点の新規の事業については、すごく前向きな方向で検討されていると
いうふうに私は思いました。実は、府の京都府健康福祉部ですか、電話で
問い合わせました。
新規事業としては1, 500万円を事業予算として上げられている、 10カ所程度
であると、今後の進め方は、当然、予算が可決した後だけれども、市町村でそ
れぞれ手を挙げていただくか、地域で割り振るか、そこら辺は十分検討してい
く ということでした。

 木津川市としても、既にある事業所でそういう看護師配置をされている実態
があるわけですので、積極的な取り組みを、手を挙げていかれてほしいなとい
うふうに思っております。

 これは、河井市長がそのようにおっしゃっていただきましたので、その方向
で進めていただくことをお願いしておきます。

 重度障がい者の問題をいつも取り上げるたびに、ある一つの、少ないキャパの
人たちのことを私が伝えているというふうに誤解されては困るんですけれども
やはりだれでもがその状態になり得る、そしてなかなか声を上げることができ
ない、そういう思いで施策として充実していただきたいというような思いでの
質問ですので、よろしくお願いします。