木津川市職員措置請求書

木津川市長及び関係職員に関する措置請求の要旨

【1 請求の趣旨】

第1 状況や背景の説明
  木津川市では、合併後初の臨時議会が5月9、10日の日程で開かれ「木津川市議会政務調査費の交付に
  関する条例」が賛成多数により可決された。
  そもそも政務調査費とは、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経
  費の一部として、その議会の会派及び議員に対し、交付できるものである。(地方自治法第100条第13項
  及び14項)そして、交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならないとされている。

  今回、提案された議案第2号「木津川市議会政務調査費の交付に関する条例」によると、交付対象は「会派
  及び会派に所属しない議員に対して交付する」 (第2条)、交付方法は「年額交付する」(第3条)、金額は「会
  派に対する政務調査費は、所属議員数に月額1万円を乗じて得た額を交付」(第4条)、「無会派議員に対す
  る政務調査費は、月額7,000円を交付」(第5条)とある。

  この条例は、5月1日に開催された初議会説明会において、全議員に説明された。その際、本条例案は会
  派世話人会での合意を得たものであり、3,000円の差額の根拠は、会派活動に伴う経費であり、備品等も
  必要であるからと議会事務局長が説明された。


第2 支出の事実
  「木津川市議会政務調査費の交付に関する条例」が可決されると、会派所属議員25名分
  月額1万円の年額が交付される。無会派議員1名分月額7,000円の年額が交付される。議員選挙のあった
  今年度は、11か月分、すなわち総額2,827,000円が交付されることとなる。
 
   そのうち、会派活動分といわれている1名あたり月額3,000円、25名分の11ヶ分825,000円が、会派
   だけに上乗せされると予想される金額(上限)である。


第3 支出の違法性・不当性
 1. 議員平等の原則  
    議会は、住民に選ばれた代表者により構成されるものであり、民主主義の広場でなければならない。
    そして当然のことながら、議会を構成している一人ひとりの議員が平等であってこそ、その原理はなりた
    つものであり、その大前提の上に、会議において意思決定がなされていくものである。よって、議員の
    一人ずつが平等であることは、法規以前の原理であり、明文の規定もないところの不文律である。
    誰もこれを犯すことはできず、これを侵害することは不法行為である。

    「第1 会議における諸原則 ・・
    一四 議員平等の原則
    議員は、議員としての新旧、性別、年齢、教育、財産、社会的地位の高低、職業、所属政党の相違、
    思想信条、議員としての経験の長短、政治力の強弱、特殊才能の有無等にかかわりなく議員としては
    すべて同等であって、法律上その間にいっさいの差別はなく平等、対等であるとするのを議員平等の原
    則という。
     議員は、平等であり対等であるが故に、多数決の原理が生じ、民主政治イコール議会政治であり、
    その議会政治は多数者の意思決定を尊重してこれに従うことである。そのように議会政治は、多数決
    制とはいえ、それには少数意見が存在し、その意見を尊重してこそ多数決制が価値を持つものである。
     議員平等の原則は、会議体として最も基本的な原則であるから法規には特別の規定が設けられてい
     ないが、法規以前の原理であるからこそ、表決の投票も選挙の投票も一人一票主義のもとに各議員
     は平等に一票をもち、対等の立場に立つのである。」
     (「会議規則・委員会条例・傍聴規則 逐条解説」/平成2年10月25日 発行/著者「中島正郎」/
      発行所「ぎょうせい」/19ページ)

 2. 金額の差は許されない
     地方自治法に「条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の
     一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる」とされて
     いる。あくまでも議員の調査研究のための費用であり、会派活動のための費用としては認められて
     いない。会派は、交付の対象にすぎない。

     そもそも、金額に差をつけること自体、議員平等の原則に反するものであり、金額の差は許されない。

 3. 有権者をも冒涜するもの
    公選で選ばれた議員の権利が不平等であるということは、有権者を平等に扱っていないことである。

 4. 違法な支出
    議員平等の原則に反する調査費の交付金額に差をつける条例は違法である。
    当該違法な条例に基づく支出は、適法な法令の根拠を欠く支出であるから、違法な支出となる。


第4 損害
    前記のとおり違法な支出は木津川市が負担する必要のないものであり、仮に支出が強行されれば、
    その時点で市の損害となり、かつ、その損害は回復される見込みはない。
    損害と予想される金額(上限)は825,000円である。


第5 請求人が監査委員に求める措置(勧告)
    会派活動分といわれている1名あたり月額3,000円、25名分の額825,000円を支出してはならない
    と市長および議長に勧告すること(差し止めの請求)を求める。



【2 請求者】    呉羽 真弓 



以上、地方自治法242条1項の規定により、別紙事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。
                                      2007年5月14日

木津川市監査委員様      

別紙事実証明書目録
   木津川市議会政務調査費の交付に関する条例の写し
   19年度木津川市一般会計暫定予算書の写し