河井町長の意見書  赤字は、くれはの意見・解説等です。

今回の直接請求に係る木津町の合併について住民の意思を問う住民投票条例(以下「本条例」という。)案は、木津町の合併問題について、町民の意思を確認し、もって民意を反映した選択をすることにより、将来の住民の福祉の向上に資することを目的(第1条)としています。この目的に基づいて、住民投票(第2条)、住民投票の執行(第3条)、住民投票の期日(第4条)、投票資格者(第5条)、投票資格者名簿(第6条)、投票の方法(第7条)、投票所においての投票(第8条)、無効投票(第9条)、情報の提供(第10条)、投票運動(第11条)、投票及び開票(第12条)、投票結果の告示等(第13条)、投票結果の尊重(第14条)について定めようとするものであります。

ここまでは、直接請求された条例の中身の説明です。


地方自治法(昭和22年法律第67号)からみた本件条例の適否でありますが、市町村の合併は、廃置分合の一つの態様として、地方自治法第7条にその法的手続が定められており、加茂町及び山城町との合併は、3町の町議会の議決に基づく京都府知事への合併申請、府議会の議決に基づく府知事の合併処分を経て、総務大臣がその旨を告示することにより効力を生ずるものとされております。

地方自治法上の合併の説明をすることで、本件条例の適否については明言を避けていますが、否と言っているに等しいです。

 さて、申し上げるまでもなく、わが国の地方自治においては、日本国憲法第93条第1項及び地方自治法第89条にありますように、代表制民主主義を採用しております。そして、住民の意思を反映する手段として、直接選挙で選ばれた首長、議会議員によってその役割を果たすこととされております。
 したがいまして、合併をするか否かの判断と意思決定は、町長の提案に基づくいわゆる議決案件として、地方自治法に基づき、町議会の権能に属する事項とされているところでございます。
 合併問題は、木津町の将来にとりまして、極めて重大な課題であり、幅広い観点から責任ある議論を行い、総合的にかつ長期的な視点から慎重に判断すべきものであります。 
 それゆえにこそ、木津議会においても、平成17年1月24日に市町村合併特別委員会が設置され、これまでに実に15回にわたり委員会が開催され、この複雑にして重大な合併の問題について、真摯に議論を重ねられているところであります。

住民には判断は、難しいといわれている感じです。


 次に、市町村の合併の特例等に関する法律(平成16年法律第59号)からみた本件条例の適否でありますが、現行法制度は、市町村合併を円滑に進めるための特別な法規として、市町村の合併の特例等に関する法律(以下「特例法」という。)を定め、特例法第3条第1項において、合併をしようとする市町村は、地方自治法第252条の2第1項の規定により、合併市町村基本計画の作成その他市町村の合併に関する協議ををおこなう協議会を置くものとして、合併にいたるまでの合併関係市町村の合意形成に関し、入念で慎重な検討の場を設けております。このことは、合併が関係市町村の住民にとって非常に重大な影響を持つものでありますことから、当該合併が当該地域住民の福祉の向上に資するか否かを関係市町村の間で公正かつ慎重に検討し、十分将来の見通しを立てた上でおこなわれるべきものであるとの趣旨によるものと解されます。本規定に基づき、去る平成17年3月4日及び同年3月24日に、木津町・加茂町・山城町のそれぞれの町における議会の議決をいただき、同年4月1日に木津町・加茂町・山城町合併協議会として正式に設置したところであります。

法律に基づき、協議会設置をしたのだからと言っています。
実際は、即日提案、即日採決の強行(2005年3月4日)による協議会設置。協議会設置までの合意形成の努力は、必要ない。このスタートが問題だったと私は言い続けています。


また、協議会の構成員については、上記のような協議会の任務の重要性に照らし、地方自治法第252条の3に規定されている「関係普通地方公共団体の職員」に加え、特例法第3条により、「関係市町村の議会の議員及び学識経験を有する者」も、構成員とすることができるように規定されております。木津町・加茂町・山城町合併協議会の設置にあたりましても、この規定に則り、3町の町長・3町議会議長のほか、助役、3町議会から選出された議員、学識経験者(住民及び京都府の関係部署の職員)の合計26人のメンバーを構成員としております。

 このように、木津町・加茂町・山城町の合併に関しましては、広範で多角的、公正でかつ慎重な審議が行えるよう特段の配慮がなされているところであります。

特段とは、どのあたりを指しているのでしょうか?某新聞社の支局長曰く、「以前赴任していた地域の合併協議会は、議員の委員に合併慎重派も含まれていたが、今協議会の構成委員は偏っているように思える」と。公正?


以上のとおり、木津町・加茂町・山城町との合併については、地方自治法及び特例法の規定により、十分公平で客観的な検討の機会と仕組みが調整(整備)されていると考えるものであります。

意見書には、整備となっていますが、町長は調整と述べました。


 3町は、歴史・経済・文化等さまざまな分野で結びつきが強く、従来から消防、救急業務をはじめとする広域業務に取り組んでおり、この枠組みで将来を展望した地域づくりを基本に、新市基本計画の策定や事務事業の取り扱い等について真剣な議論を重ねたところであります。現在、協定項目53項目のうち50項目につおて確認がされたところであります。そして、すべての調整項目が確認され、新市の態様が明らかになった時点で合併の是非を判断するものであります。

この判断を誰がするのかが問題なのです。町長の議会への提案や議員の議決は、当然です。しかし、その前に住民が主体なのだから住民の判断は?といい続けているのです。

 

 
これまでに、住民のみなさまには合併協議会として「合併協議会だより」の配布やホームページの開設、3町共通の資料に基づく住民説明会を実施してきたところであります。木津町といたしましては、「広報きづ」に合併関連記事を掲載し、本町独自の住民懇談会等の開催などに取組み、町議会におかれましても「木津町議会だより」を発行いただくなど、町民への情報提供を行ってまいりました。さらに、住民のみなさまからのご意見の聴取につきましても、住民説明会の場やパブリックコメント制度の活用、手紙、電話、電子メールなどにより、その意向把握に努めてきたところであります。そのような中、新市基本計画に基づく新市財政計画では、10年を経過した時点でも約69億の基金が積むことが予測され、一方、単独では基金が枯渇するといった、当初こちらが予想した範囲を超えた合併効果があることも判明いたしました。このような結果を受け、3町合併推進をより一層確信したところであります。



 以上の理由により、合併の是非については、合併協議会において十分な審議を行い、その結果を踏まえて、代表制民主主義の基本原則に則り、議会の権限と責任において議決されるべきものと考えます。
 したがいまして、「本件条例を制定するまでの必要はない。」とするのが私の意見でございます。
 なお、今回の条例制定の直接請求につきましては、「町の将来に関わる大事なことは住民自身が決める。」として、木津町の未来を思う町民の方々の貴重な運動の結果であり、その熱い思いを真摯に受け止めております。

 今後とも、市町村合併は木津町の将来に関わる最重要課題として、住民のみなさまに対し、合併に関してのさまざまな情報提供に努めながら、一層の理解を求めてまいりたいと考えております。