争点に対する判断
1(事実関係の確認)

2 原告は、本件条例において、会派所属議員への交付額が会派に所属しない議員への交付額に比して月額3000円多額であることから、同条例は憲法14条及び同93条に違反しており、これに基づく交付も違法であると主張する。

 しかしながら、前記認定の事実によれば、本件条例において、政務調査費は、木津川市議会における会派及び会派に所属しない議員に交付されるものであり、会派に対する政務調査費は、各月1月〔基準日〕における当該会派の所属議員数に月額1万円を乗じた金額を交付し、他方、無会派議員に対する政務調査費は、基準日に在職する無会派議員に対して、月額7000円を交付するものとされ、政務調査費の支給対象はあくまでも会派と無会派議員であり、会派所属議員と無会派議員を峻別するものではないこと、本件条例が依拠する法100条13項は、地方議会の活性化を図るためには、その審議能力を強化していくことが必要不可欠であり、地方議員の調査活動基盤の充実を図る観点から、議会における会派等に対する調査研究費等の助成を制度化し、あわせて、情報公開を促進する観点から、その使途の透明性を確保することが重要であるとされたものであり、その趣旨からしても、同項は、地方議会における会派の重要性を認めているというべきであり、その結果、会派と無会派議員との間で政務調査費の交付額に合理的な範囲内において差異が出ることも容認しているものと解されること地方議会において、会派と無会派議員とではその果たす役割に自ら相違があるというべきであり、本件条例に基づく使途基準等についても、会派と無会派議員とでその内容に相違があり、その相違に応じて金額に差異が生じるのは当然であること、本件条例において、会派に対する政務調査費と無会派議員に対する政務調査費との差額は月額3000円に過ぎず、その差額は、同じく差異を設けている他の議会と比しても過大ではないこと、本件条例は、木津川市議会において審議の上、制定されたものであり、その審議過程において、原告の指摘するような問題のある点は特段見あたらないことが認められる。

 以上の事実からすれば、本件条例が、会派に対する政務調査費と無会派議員に対する政務調査費に差額を設けたことも不合理な差別とはいえず、またこれによって無会派議員に対する住民の選挙権等が制約を受けるものでもないから、本件条例が憲法14条及び同93条に違反するということはできない。

 なお、原告は、本件条例において1人会派を認めていないことも不合理である旨批判するが、法100条第13項及び14項が政務調査費の交付について会派と議員とを区別していることからすれば、このような取り扱いが条例制定権の裁量の範囲を逸脱したものということもできず、憲法92条に違反するものでもない。

 そして、本件条例に基づき、イレブンの会らに対して、政務調査費が適正な手続きにより交付されたことは前記認定のとおりであるから、原告主張の理由のみでは、イレブンの会らは、政務調査費の返還義務を負うものではないというべきである。

3 したがって、原告の本件請求は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。