くれは 四つ目は、「学校評価への考えと実際の現場の対応を聞く」についてです。

  文教厚生委員会での6月6日の木津町内学校視察の際にも、各学校の校長先生が言われておりました「学校評価制度」について、教育委員会としての考えを聞かせてください。

  そもそも学校評価の導入は、2002年の幼稚園、小学校、中学校などの設置基準が改正されたことにより、それぞれの学校は自己評価を行い、公表することが決められたものによります。今年度より木津町でも規則が施行され、本格実施されるということです。昨年の3月の一般質問の際にも言いましたが、学校評価に取り入れる外部評価については、各校の実情に合わせて慎重にすべきであると思います。外部評価という手法がその学校にとって本当に有効であるかどうかも含め、外部評価をするために十分な準備が必要であると思うからです。

外部評価という制度が一人歩きしないような、各校の実情似合った工夫はどのようにされているのかお聞かせください。そして、最終的に評価を受けて学校としては、それをどう取り入れていくのかお聞かせください。


教育委員会理事 呉羽議員の4問目の質問にお答えします。

  はじめに、学校評価の背景とその法的位置づけについて触れさせていただきます。
  国際化、高度情報化、少子化等、社会の急激な変化の中で、学校教育に対する価値観やニーズがますます多様化し、こうした現状を踏まえて学校教育のあり方を考えていくことが強く求められています。すなわち学校は、これまで以上に保護者や地域社会の人々の願いや期待をしっかりと受けとめ、なおかつ自主性と自立性のある学校づくりに努めなければなりません。

  議員が述べられましたとおり、現在進められている教育改革においても、こうした考えのもとに法整備が行われ、平成14年3月には小・中学校の設置基準が制定されて、「評価と公開」が法令上の責務として明確に規定されました。これを受けて本町におきましても、平成17年2月に「木津町立小学校及び中学校の管理運営に関する規則」の一部を改正し、学校評価を位置づけたところです。

  外部評価についてのご懸念についてでございますが、学校評価は、評価結果に基づいて学校を改善し、信頼される学校づくりの前進を図るために行うものであり、ご懸念いただいている状況にならないよう、十分に配慮しなければなりません。

  学校評価を学校の内部だけで行った場合、評価が一面的となり、担当者の「これだけやったのだから」といった主観的な感想にとどまることも起こり得ます。学校評価を学校改善に生かすために、その客観性や妥当性を高める上で、保護者等による外部の評価を取り入れることは意義あることと考えます。しかしながらその実施に当たっては、それぞれの学校において、内容、方法、時期を十分に検討し、学校評価全体の評価計画の中にしっかりと位置づけることが重要です。また、その結果は、あくまでも学校自身の自己評価の充実のための資料として活用することを前提としなければなりません。こうした外部評価を行う趣旨について、十分説明した上で実施すべきと考えています。

  次に、学校評価の生かし方についてお答えいたします。
  各学校においては、学校長によって年度ごとに学校経営計画が策定されています。この学校経営計画に沿って各教育活動が推進され、その実施状況の点検・評価、すなわち学校評価を行うことで、結果を分析し教育活動の改善の方向性や方策を検討するといった、計画・実施・評価・改善の学校経営サイクルを今まで以上に確立しようとしています。先ほどの外部評価については、評価の制度を上げるために外部の視点からの評価が必要と判断した内容について、その目的にふさわしい方法で実施し、校長を中心とした教職員の評価活動を補って、学校改善に生かすことをねらいとしています。

  以上のように考えておりますが、学校評価については学校の主体性を尊重し、その趣旨が生かされるよう配慮してまいりますので、ご理解をお願い申し上げます。


 くれは  詳しく説明していただきましたので、よく理解できましたけれども、全国的に見て教育現場は今、さまざまな改革がされているときだと思います。中高一貫校が導入されたり、株式会社による学校が設立されたり、校長先生に民間人が就任されたり、また教育長も公募されたり、少人数学級の実施など、さまざまな取り組みがされております。京都市内でも有名私立大学による小学校の設置が2年後ですか、1年後ですか、あるという中で本当に大変な時期だと思いますが、だからこそ、今こそ公立の小学校や中学校が公共性の原理に立った教育の役割を再認識すべきときであり、その意味においての評価を通して学校全体が、学校経営が前進する、そういう意味での評価は必要だと私も思います。

が、その前に、やはり相楽台小学校の校長先生が言われておりましたように、地域に根差した学校づくりへ向けて保護者のみならず、地域との十分な連携をとることがまず第一だと思います。信頼関係と培った上で、学校経営という新たな学校の観点に対して、十分な理解のもと評価については進められる、外部評価については進められるべきであると思います。

  15年度にいち早く学校評価の保護者評価をされた高の原小学校の資料がここにあるわけですけれども、16年3月の小学校だより高の原に校長の言葉で、厳粛な評価をしてください。厳しいものであっても冷静に受けとめ改善に生かしていきたいので、忌憚のないご意見をと呼びかけられておりました。そして、アンケート項目を見ますと、校長に対する評価と担任に対する評価と学校への評価と分かれておりました。つまり、校長自身も評価されるという大変真摯なものであったと思います。

  次年度はというと、どうなったかというと、次年度はまた見直されたのだと思いますけれども、校長という項目も消え、担任という項目も消え、学校という記述だけになっておりました。その二つを比較してみると、答える側にとって、あいまいな表現であり、答えづらくなったというふうに聞いております。

  アンケート項目に関しても、このように非常に難しいのです。聞く以上は議論を尽くし、今後どうするかも含めた上で、やはり真摯にというか、丁寧に行っていただきたいと思います。決して、よい評価を得たいがための本末転倒な評価の使用の仕方はされないようにと思うのですけれども、そこら辺を含め慎重に対応していただきたいと思います。


教育委員会理事 呉羽議員の再質問にお答えいたします。

 外部評価についてのご懸念に関しましては、先ほども答弁で申しましたが、まず外部評価をしなければならないというのがまず先にあるのではなくて、あくまでも校長による学校経営のサイクルがより確実になっていく、そのために評価の段階で客観性や妥当性、その制度を高めていくために行うという、そういう発想でおります。実施に当たりましては、校長や校内の評価会議でその内容、そして時期を、そして、その結果、公表に至るまでの計画をしっかり立てていくということを大事にしてまいりたいと思います。

  それから、呉羽議員が先ほど公共性の原理という言葉を表現されましたけれども、これからの学校におきましては、学校で一体何が実施され、その結果がどうであって、そして、今後どういう方向、方策を考えているのか、課題は何なのかということを保護者や地域の方々に発信するということが非常に重要で、こうしたことは管理運営規則にも規定したところでございますが、また、一方では、保護者や地域社会の方からのご意見とかご要望、あるいは評価を適切な時期に、適切な方法でいただけるような工夫、双方向の情報交流を積極的に行っていくということを考えていかなければならないというふうに思っております。

  教育委員会としましては学校に対して、そういった学校評価の計画をしっかりと立てる、校長を中心として、評価会議等によって学校評価の計画を確実に立てていくといったことを中心に指導を進めていきたいと思っておりますが、最終的な判断は、具体的な事柄についての判断は、各学校の実態に即して校長が判断していくというふうに進めてまいりたいと思っております。以上です。

 
くれは  学校評価については、評価をすることによって、例えば学校間の格差を助長したりとか、言われております学校選択制へと導くような、そんなつながりの動きになりはしないかなという懸念もありますので、そんなところを、私の取り越し苦労だったらよろしいんですけれども、そこらあたり各校の実情に合った適切な学校評価になっていただきたいものだと思います。以上です。


教育委員会理事 昨年度全校実施されまして、今年度本格実施1年目でございます。各学校から状況の報告も入ってまいりますので、それらをしっかりと受けとめて、今後の課題等も整理していきたいというふうに思っております。